人の嗜好性というのは、感性、人それぞれ固有のsenseに基づきます。ようやく巡り会えた1枚、それほど私にとって感動したCDです。
ピアノ協奏曲としての完成度は、いまひとつよい評価を得られない詩人の作品ですが、その知名度はいまさら説明するまでもありません。これまで多くの演奏家によって表現されてきた曲であり、私もそれなりに多くのピアニストの演奏を鑑賞しました。
器楽曲において、楽器を唄わせるのはその演奏家のセンスに委ねられます。その唄が聞く人のsenseに同調したときに、感動に結びつくのではないでしょうか。このCDの特色は、ピアノがKrystian Zimermanの10指によって唄うのは当然なのですが、オケパートが儚くも淡い旋律を見事に、あるいはピアノパートのBGMとして見事に唄うのです。私にはそう感じました。
とかく音楽という芸術に対しては、感性に基づく嗜好と、感情移入による嗜好が存在すると思います。ある曲に感動した際に、その演奏家自身、つまりその演奏家が奏でる全ての曲を好きになってしまう感情移入です。
かくいう私もショパン=SamsonFrançoisという感情移入が成立していたのですが、その感情移入を覆す1枚でした。
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