Cliché 優しく、ほんわり包み込まれるよう…
バックの器楽と調和し、まるで旋律を奏でる優美な楽器が懇篤に語りかけてくるような心の琴線に触れる音…
それが大貫妙子さんの歌声です。
6thアルバム「Cliché」(1982年発売)は、ヨーロピアン三部作の三作目で、彼女の世界観を堪能できる代表作の一つです。収録されている曲はいずれもメロデーがきれいで、明るく快活的なものから物悲しく切ないものまでヨーロッパの香りが漂う曲調は、ポップスの域を超えてあたかもクラシック音楽のような高い芸術性を感じます。
作詞は、ほとんどが恋愛を綴ったもので、シャンソンで言うところの「シャンソン・ド・サンチマンタル」に相当するのでしょうか、大貫妙子さんがUTAU TOUR -「A PROJECT OF TAEKO ONUKI & RYUICHI SAKAMOTO」で次のように語っています。
『私の作る歌のほとんどはラヴ・ソングと言っていいかと思うのですが、それでも「恋の真っ最中」を歌うラヴ・ソングというのはあまりない。そもそもそういう歌は聴いていても他人にはつまらないと思うし(笑)。なのでやはり、私のラヴ・ソングは去っていったものや残してきた思いなどのテーマのラヴ・ソングが多くなります。
(中略)
たまたまそのときは恋愛関係になったけれども、人の出会いとは、実は男女の恋愛を超えたもっと大きな意味があるんじゃないかと思うこともあるはずです。そういう出会いを大切にすれば、そしてお互いを傷つけあうことがなければ、何年経ってもお互いに力になってあげることができるし、すばらしい関係になれると思っているんです。そういう思いを込めて「夏色の服」のようなラヴ・ソングをこれからも書いていければと思っています。』
「夏色の服」は「Cliché」の8曲目に収録されています。素晴らしい曲で、大貫妙子さんの歌声に美学的な崇高ささえ覚えてしまうほどです。難しい曲ですが、この辺りがクラシックの器楽曲的な要素を含む所以なのだと思います。
「Cliché」は、オーディオ的にも鑑賞に相応しいソースだと思います。彼女の清澄な歌声とピアノやストリングスなどの繊細なハーモニーは、是非とも最高の音で聴いていただければ心酔すること間違いないでしょう。
こんにちは。お便りたいへんありがとうございます!!! 水谷さんのコメントでおよそ10年前の記憶が蘇ってきました。あのときの岐阜城からの眺めは格別でした。 昭和26年の写真はとても貴重な画ですね。非常事態宣言も解除されたようですので、暑さにお気をつけて是非楽しんでいらしてくださいませ。
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