CHERRY MXスイッチ 赤軸を採用したテンキーレスキーボードの市場が活気付いてきました。
2,011年12月1日発売予定が遅れに遅れた“クーラーマスターQuick Fire Rapid 赤軸”、4月25日に発売予定の“FILCO Majestouch 2(赤軸)”と、赤軸ファンにとっては心から歓迎したい状況ですね。
今回はこの“クーラーマスターQuick Fire Rapid 赤軸”について、触ってみた感想を少し述べたいと思います。
W355mm×D135mm×H35mmというコンパクトなキーボードを手に持ってまず初めに感じたことは、ラバーコーティングの効果により本体表面がとても滑らかで上質な手触り感があることです。
かといって軟な感じは無くむしろ硬質的で、本体質量940gの重量感と相まってしっかりとしたハードの印象を受けました。
詳しい特徴は次のとおりですが、用途、使い勝手など考慮して開発されているようです。
– 抜群の操作感を提供する高性能CHERRY MXスイッチ(茶軸/黒軸/赤軸)を採用
– ゲームでも普段使いでも使いやすいカナ印刷なしの日本語配列キーボード
– 個性的な交換用オリジナルデザインキーキャップを付属
– キートップへの刻印には擦れに強いレーザー刻印を使用
– ゲームに不要なWindowsキーは無効化が可能
– PS/2モードでの全キー同時認識(Nキーロールオーバー)に対応
– キーボード表面は高級感のあるラバーコーティング仕様
– 高速な1000Hz(1ms)のレポートレート
– ケーブルの出口を後方または左右の3方向に変更可能
– マウスパッドを横に置けるコンパクトなボディ
(COOLER MASTER 製品案内から抜粋)
さて、キーボードの本質はやはりキータッチですよね。
赤軸のキータッチは一体どんな感じなのだろうか?
黒軸が単純に軽くなっただけなのだろうか?
それともRealForceの静電容量無接点方式に近い感じなんだろうか?
ずっと疑問に思っていたことなのですが、ようやくわかりました。
結論を先に言ってしまえば、黒軸を素直に軽くしたような感覚です。
RealForceの静電容量無接点方式とは押し下げ荷重が小さいという点では一致しますが、押し下げ時のタクタイルフィーリングは全く異なりました。
これらの感覚については、実は荷重-変位図の特性がそのまま表れているのではないかと思います。
①「赤軸」荷重-変位図
(出典:Simply Cool)
②「黒軸」荷重-変位図
(出典:Jeroblo)
③「RealForce」荷重-変位図
(出典:Topre)
キーストロークはいずれも約4mmですが、赤軸①・黒軸②のメカニカルキーとRealForce③の静電容量無接点方式とでは図のカーブが全く異なる傾向を示しています。
赤軸①と黒軸②は、キーを押し下げる荷重と変位はリニア(直線的)に増加していきます。
押し下げれば押し下げるほどキーを押し戻そうとする反力が増えるとも言えます。
キーの認識点(Operating point)は押し下げてから2mmのところにあるのは共通ですが、認識点に達するときの押し下げ荷重は赤軸①が約45g、黒軸②が約60cN(≒61.2g)であり、この荷重差だけ赤軸のキータッチが軽くなっています。
さらにキーを押しきったときの荷重は、赤軸①が約61.2g、黒軸②が約80cN(≒81.6g)なので、ゲーミングデバイスとしての用途で一つのキーを押し続ける場合には、それらの反力に抗い続ける必要がでてきます。
ゲーミングデバイスとして赤軸や黒軸を検討される方は、キーの押し下げ時の反力を実際に確認してみた方がよいでしょう。
一方、この反力をうまく利用できれば小気味よくタイピングすることも可能です。
私は会社のキーボードに黒軸を使っているのですが、底打ちしないでポンポンポンと打鍵できるようになってからは、その反力がいまや心地よくなっています。
※底打ちしないで・・・は少し言い過ぎですね。失礼しました。ただ、反力は小気味良いですよ(2014.2.19追記)
RealForce③については、押し下げ荷重のピーク(最大値)が約0.42N(≒42.9g)を示しています。
(実際の商品では、型式によってAll45(±15)g仕様、30,45,55gを組み合わせた変荷重仕様など色々あります。詳しくは東プレHPをご覧ください。)
このピークを過ぎた下り勾配領域のどこかに認識点があると推定できますが、ピークを過ぎれば荷重がなだらかに減少していくので、慣性でキーを押し下げるような感覚になります。
キーを押しきったときの荷重は約0.33N(≒33.7g)で、赤軸①や黒軸②に比べて小さいことも特徴です。
さて、似て非なる赤軸とRealForceですが、双方のキータッチの感触を比較してみると、赤軸はスースーと押し下げる感覚で小気味よく硬質的なキータッチ、RealForceはキーを軟らかに押し下げる感覚でソフト的なキータッチ…
私にはそのように感じました。
キートップの刻印は、レーザーマーキング方式を採用しています。
レーザーをキートップ面に照射し、その部分を炭化させることにより印字します。
インク式のように剥げることが少なく耐久性に優れていますが、印字部分がトップ面より僅かに盛り上がります。
キーのゲート(樹脂注入口)跡は背面側にありました。凸部の処理はきちんと施してあるようです。
交換用キーキャップ×6個とキーキャップ取り外し用工具×1個。
USBケーブルは編みこみタイプのようです。
赤軸のRed色を粋に配した“クーラーマスターQuick Fire Rapid 赤軸”…
存在感もなかなかですね。。。
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