幻想ポロネーズ…Pollini

現代最高のピアニストが来日します。
Maurizio Pollini -Pollini Perspectives 2012-サントリーホール

マウリツィオ・ポリーニ 70歳(1,942年~ イタリア ミラノ)…

確か僕が中学3年生のときに、“ベートーヴェンピアノソナタ第29番《ハンマークラヴィア》”を弾くポリーニを初めて聴きました。

そのときの印象はいまでも覚えています。
一つひとつの音が明確に響き、テンポ・ルバートを多用しない楽譜に忠実なタイプの演奏家。。。

以前ブログでも述べましたが、当時はフランスのピアニスト サンソン・フランソワの個性に魅かれていたこともあって、ポリーニが第6回ショパン国際ピアノコンクール優勝者であっても、それ以降ポリーニを取り立てて聴くようなことはありませんでした。

ところが、年を経て演奏家の多様性に興味を抱くようになってからは、演奏家ありきではなく、曲と演奏家のマッチングで音楽を楽しむように僕自身も変わっていきました。

マウリツィオ・ポリーニ

僕は、46歳くらいまでのポリーニの演奏が好きです。

演奏家も年齢とともに変わっていきます。

自らの経験、知見の積み重ねにより譜面の解釈に柔軟性と厚みが増し、奏法や描写に変化が現れます。それが軽微な場合もあれば、顕著な場合もあるわけです。

鮮明で喨々(りょうりょう)たる音、テンポの変化を最小限に抑えて調和を保ったスタイル、完璧なテクニックと硬質的なキータッチ、徹底したコントロールがなされていながらも詩情豊かな表現。。。

ディスコグラフィではちょうど、“ベートーヴェン ピアノソナタ第17番「テンペスト」&第21番「ワルトシュタイン」&第25番&第26番「告別」(1.988年録音) ”あたりまででしょうか。

以降は、しだいに丸みを帯びた叙情性豊かな演奏スタイルに変容していきます。
少なくとも僕はそのように感じました。。。

そんなポリーニの演奏で、ショパンの幻想ポロネーズ(ポロネーズ第7番作品61)を聴きました。
(僕の中で幻想ポロネーズは、ピアノ独奏曲において最高傑作の位置付けにある作品なんです。)

ショパン・ポロネーズ(第1番~第7番)は、1,972年に録音された“ショパン・エチュードOp.10,Op.25”の3年後、ポリーニ33歳の1,975年に録音されました。

強靭なテクニックと正確無比な奏法に無類の完成度を誇る名盤として評価された、その“ショパン・エチュード”の数年後であり、まさに期待を裏切らない完璧ともいえる演奏です。

感性豊かなサンソン・フランソワと双璧を成すようなスタイルは、一音一音が重厚で正確であり、かつそこにポリーニの現代的解釈による詩情が刻み込まれています。

幻想ポロネーズ_Maurizio Pollini

1,986年、ポリーニ44歳のときのライブ録音のようです。
1,975年のスタジオ録音よりアップテンポですが、フィナーレは怒涛の迫力で素晴らしいです。

幻想ポロネーズから_Samson François

幻想ポロネーズから_Arthur Rubinstein

幻想ポロネーズ_Evgeny Kissin

幻想ポロネーズ_Martha Argerich

幻想ポロネーズ_François Dumont

François Dumontの演奏も素晴らしいですねぇ。
これは発見です!

幻想ポロネーズ_Yulianna Avdeeva

第16回 (2010年)ショパン国際ピアノコンクール第1位

幻想ポロネーズ_Yuja Wang

ユジャ・ワン20歳頃のリサイタル映像です。


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最近のコメント

  1. こんにちは。お便りたいへんありがとうございます!!! 水谷さんのコメントでおよそ10年前の記憶が蘇ってきました。あのときの岐阜城からの眺めは格別でした。 昭和26年の写真はとても貴重な画ですね。非常事態宣言も解除されたようですので、暑さにお気をつけて是非楽しんでいらしてくださいませ。

    • RiKKiE
    • 2020-05-14
  2. 岐阜城の記事を興味深く読みました。写真が明確で、内容が良く分かります。信長や秀吉の歴史的痕跡が多くあるのには驚愕です。岐阜城の天守閣からの眺望は、はるかかなたまで眺望でき、戦国時代ここから恐らく信長も天下統一を志したのでしょう。今度、女神像を観に行きたいと計画しています。数年前、この前で撮った写真が見つかりました。昭和26年頃撮ったもので、この写真を持って行きたいと思います。じっくり今昔の相違を確認したいと思います。

    • 水谷 成美
    • 2020-05-14
  3. お便り有難うございます。返信が遅くなり申し訳ありませんでした。 実を申しますと半年ほど前にHD660Sを購入しました。ある理由でHD650を分解したときにリード線を断ち切ってしまいまして。 銘機HD650の音質を本当に上回るのか疑心暗鬼でしたが、クラシック音楽の心地よい自然な高音の再現性は◎でした。 おっしゃるとおりアンプの選定には予算との兼ね合いで悩みました。いまでは、電源やケーブル類のアクセサリーも導入して、自分好みの音質になんとか仕上げることができました。 ヘッドホンによる音楽リスニングは、再生音質の良し悪しが一聴瞭然?なのでいろいろ試行錯誤しましたが、最近はもっぱら音楽鑑賞を楽しんでおります(^_^)。

    • RiKKiE
    • 2019-06-04
  4. 小生も万能機HD598を最初に買ってオールマイティ機によくある「どのジャンルもそこそこな性能」に 我慢できず3ヶ月でHD650に買い替えしました。 インピーダンスが300Ωと高いのでHPAを選びますねぇ~。Audio・gdのC2cという中華製H PAが相性よく、手放せません。

    • 杉ちゃん
    • 2019-05-29
  5. NHK交響楽団はあまり聴かないのですが、ドゥダメル氏の招聘が叶えばいいですね。篠崎史紀さんの演奏は聴いたことがありません。ごめんなさい。

    • RiKKiE
    • 2018-09-16
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