ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地であり、ニューイヤーコンサートが年始に開催される“ウィーン楽友協会(Wiener Musikverein)”…そのグローサーザール(別名 黄金のホール)にて、2,010年2月ラン・ランがピアノリサイタルを行いました。
先日リサイタル初回限定版を買いました。CD2枚組みとDVDがセットです。輸入盤なので、解説は英語と独語の2ヶ国語構成です。立派なジャケットは、スモールサイズのハードブックのようでとてもゴージャスです。
映画「のだめカンタービレ 最終楽章」でのピアノ演奏吹き替えと、その前編で演奏収録が行われたウィーン楽友協会ホール、“NODAME ORCHESTRA”でも「LANG LANG Live in Vienna」のアルバムが大々的にPRされていますね。
ピアノ・ソナタ第3番(ベートーヴェン)は初期のソナタですが、とても愛らしくきれいな演奏です。速いテンポでテクニックを披露する技巧派のピアニストは古今東西必ずいますが、ラン・ランは全くそのようなタイプではありません。その超絶的な技巧を有するがゆえに、全ての演奏に余裕が感じられます。鍵盤ひとつひとつの音がいかなる場面も乱れることなく、ときには軽やかに、ときにはズッシリと重々しく、ときにはアップテンポで、そしてときにはスローで優しくやわらかく演奏しているように聴こえます。
熱情ソナタは力強さに華麗さが加わった見事な演奏です。テンポ・ルバートを巧みに取り入れ、旋律を謳っています。マウリツィオ・ポリーニの熱情は堅実で力強さを感じる演奏ですが、そのベートーヴェンにロマン派的な美しさを随所に漂わせるラン・ランの演奏です。イベリアは、まるで無重力の世界へ誘い込むように極めて神秘的な演奏で、陶酔してしまいました。またプロコフィエフの戦争ソナタには圧倒されました。第3楽章はリズミカルに、かつ的確に鍵盤をたたきながらフィナーレまで一気に駆け上ります。アンコール曲の英雄ポロネーズは、会場の熱い空気とラン・ラン本人の高揚感の流れのまま自然体で弾いているようです。主題の部分はあまりテンポ・ルバートを使わないで、ポロネーズ舞曲特有の一定リズムをしっかり刻んだ演奏の方が個人的には好きなのですが、これもまたよしです。
このウィーンライブ、映像でも観たくなりました。Blu-ray輸入盤が明日11/25に届く予定です。
《初回限定版収録内容:輸入盤》
■ディスク:1
・ベートーヴェン
1. ピアノ・ソナタ第3番ハ長調 作品2 第1楽章 Allegro con brio
2. ピアノ・ソナタ第3番ハ長調 作品2 第2楽章 Adagio
3. ピアノ・ソナタ第3番ハ長調 作品2 第3楽章 Scherzo(Allegro)
4. ピアノ・ソナタ第3番ハ長調 作品2 第4楽章 Allegro assai
5. ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調 作品57 “熱情” 第1楽章 Allegro assai
6. ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調 作品57 “熱情” 第2楽章 Andante con moto
7. ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調 作品57 “熱情” 第3楽章 Allegro ma non troppo
■ディスク:2
・アルベニス
1. “イベリア” 第1巻 招魂(エボカシオン)
2. “イベリア” 第1巻 港
3. “イベリア” 第1巻 セビーリャの聖体祭
・プロコフィエフ
4. ピアノ・ソナタ第7番変ロ長調 作品83 第1楽章 Allegro inquieto
5. ピアノ・ソナタ第7番変ロ長調 作品83 第2楽章 Andante caloroso
6. ピアノ・ソナタ第7番変ロ長調 作品83 第3楽章 Precipitato
・ショパン
7. 練習曲 作品25 第1番変イ長調
8. ポロネーズ第6番変イ長調 作品53 “英雄”
9. ワルツ第2番イ長調 作品34-1 “華麗なる円舞曲”
■ディスク:3 DVD
1. ポロネーズ第6番変イ長調 作品53 “英雄”
2. ピアノ・ソナタ第3番ハ長調 作品2 第2楽章 Adagioから
3. ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調 作品57 “熱情” 第1楽章 Allegro assaiから
4. “イベリア” 第1巻 招魂(エボカシオン)から
5. ピアノ・ソナタ第7番変ロ長調 作品83 第3楽章 Precipitatoから
6. Lang Lang – Live in Vienna Electronic Press Kit
“熱情” 第3楽章から/ベートーヴェン_LangLang
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