IE80
■序章…
オーディオ機器の前に座して音楽をじっくり鑑賞するスタイルより、PCで何か作業をしながら音楽を聴くスタイルが最近多くなりました。
PCで作業をするときの音源は、HDD内のデータです。
ネットからダウンロードした圧縮データであったり、CDからリッピングした非圧縮データであったりします。
音楽を聴くデバイスは、オーバーヘッド型のbeyerdynamic DT880。
1ヶ月ほど前のこと、そのDT880のミニプラグが折れてしまいました。
修理はするものの、イヤーパッドは夏の時期には蒸し暑いことを思い出し、これを機に新しいデバイスに換えてみようという結論に至りました。
思い立つと、自分の好きなことについてはとにかく行動が早い(笑)。
WEBのレビューを参考に、SHURE SE425とSENNHEISER IE80が候補に残りました。
最終的に選んだのはIE80です。
SE425はなんとなくライブモニター色が濃そうな感じがして、IE80にはHD650のような音色を期待しました。
■レビュー…
それでは音質の確認です。
デスクトップ型PCのUSB端子に接続するDACは、AundinstのHUD-DX1(DSD/DXD対応ヘッドホンアンプ)。
再生用ソフトは、巷で評判が高く、WASAPI排他モードに対応しているPlayPcmWin(フリーウェア)を使用しました。
・中低域をしっかりと鳴らし、低域の量感は多いように感じます。
・低域には力強さがありますが、クラシック系以外のポップスなどでは、低域の量感が多いことで中域が控えめに感じるときがあります。かといって、ヴォーカルなどが不鮮明になるようなことはありません。
・ヴォーカルは、艶やかに聴かせてくれます。
・高域は、きらびやかな感じではなく、まろやかに奏でます。明るく華やかに鳴らすタイプではありません。
・全体的に柔らかくて温かみのある音で、耳につくような歪み感も感じられず、長時間聴いていても疲れません。
・音像定位もしっかりと表現し、イヤホンでありながら音場の広さも特に不足はありません。
再生用ソフトをiTunesに換えてみると、若干中高域が持ち上がるようです。
音楽によって中高域にもう少し明度が欲しい場合には、再生ソフトを変えてみるのも手です。
次に同じSENNHEISERのHD650と比較してみました。
音楽は、R.シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき、ドン・ファン」
(カラヤン, ベルリンフィル1983年録音版, CDからリッピング(WAV44.1kHz 16bit))。
再生ソフトは同じくPlayPcmWin。
・解像感は、HD650の方が高いですが、低域の量感は、IE80の方があります。
・冒頭のオルガンの重低音の響きは、IE80の方がよく聴こえます。
・中高域は、HD650の方が澄みきった音色であり、これが解像感につながっているように思います。
・音像定位は、両機種ともきちんと再生します。
・音場は、オープン型のHD650は自然な広がりが美しいですが、IE80も空間表現をそつなくこなします。
なお、IE80のハウジングに付いている低域の音質調整機能はデフォルトのままで十分でした。
一度、二目盛ほど上げてみましたが、低域の量が増えると同時に低音による圧迫感も増えました。
これは好みで調整してみるとよいでしょう。
総じてIE80は、中高域にメリハリのある音を求める方には向きませんが、繊細で柔らかで響きが豊な表現が好みの方には、一考の価値があるのではないかと思います。
このクラスのヘッドホン・イヤホンは、音楽データそのものの造りの良し悪しを浮き彫りにします。
例えば、音の分離性が悪く音楽的に非常に聴きづらい作品は、ミキシング時の音の混ぜ合わせ具合で重なりが生じたりしているのではないかと、あくまで憶測ですがそのように勘ぐったりする時があります。
デバイスの性能や性質によって音楽の表現力に個性が生じますが、再生する音楽データの完成度にも関心を向けざるを得ない、IE80はそのような機種でもあると思います。
■リケーブルの魅力…
また、リケーブルによって音質を変化させる楽しみがあります。
SONG’S-AUDIOのUNIVERSE PROやGALAXY PLUSなどは、『・・・そしてUNIVERSE PROはそこからグッと解像度があがって、IE80らしさがより表に出てくる。そしてこのGALAXY PLUSはね、ひとことで言えば「IE80じゃない音になる」。』という野村ケンジさんのコメントを見ていると、これは替えてみたくなりますね。
個人的には、弦楽器をより澄んだ音色で聴ければと願っているので、その場合はどちらがいいのでしょう?
■模造品にご注意…
最後になりますが、IE80には模造品(偽物)が流通しています。
梱包ケースの側面に張り付けてあるホログラムシールのIDから本物かどうか判別できるようです。
IDを次のサイトで入力すれば、正規品のホログラムナンバーを返してきます。
そのナンバーとホログラムシールに表示されているナンバーが一致すれば正規品です。
SENNHEISER CUSTOMER AND BRAND PROTECTION
また、確認方法を紹介したSENNHEISERの動画がこちらです。
製品自体の見分け方は、こちらのサイトに詳しく記されているので、参考にしてください。
さくやさんのブログ:SENNHEISER IE80 偽物 比較 画像
Takayukiのブログ:本物を見極めろ!!! SENNHEISER IE80
【追伸 2016.5.6】
e☆イヤホンの「30,000円~50,000円 ミドル級イヤホン王者決定戦」において、IE80は総合ランキン第4位の評価を得ました!
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