九十九乱蔵(つくもらんぞう)の魅力…

毒島獣太(ぶすじまじゅうた)と九十九乱蔵(つくもらんぞう)は、夢枕獏さんのお気に入りキャラクターではないでしょうか?

獏さんの作品をすべて読破するまでには至っていませんが、少なくとも“サイコダイバーシリーズ”の毒島獣太と“闇狩り師”の九十九乱蔵については、登場シーンにおいて機会あるごとに容姿から性格まで事細かく紹介されているからです。

・・・3,168ccのディーゼルエンジンが、重い唸り声をあげていた。
そのランクルから降りてきた男の肉体は、その車と同等か、それ以上の量感を持っていた。・・・
身長、2メートル。体重、145キログラム。
その太い腕を包みきれずに、Tシャツの袖がちぎれそうなほど張っている。・・・
履いているのは、特注の、ダナーのワークシューズである。・・・
盛り上がった両肩の間に、太い首がはえていた。・・・
決して、ハンサムという貌(かお)だちではなかった。・・・
不思議に、人を落ち着かせる優しい光が、その瞳の中にある。・・・
年齢は、30代の半ばくらいであろうか・・・

ほんの要点のみですが、実際には紹介だけで1頁半も使われています。
これらを一言一句咀嚼(そしゃく)することで、読者一人ひとり固有の九十九乱蔵のイメージが確実に出来上がる訳です。

2メートルを超える身長に鋼のような肉体、太い首の上に四角い貌と獅子鼻、決して美男子ではないが人を惹きつける中国拳法の達人、仙道の使い手、それが九十九乱蔵です。

九十九乱蔵の家業は妖魔封じですが、物語は単純ではありません。
怨念(おんねん)、呪詛(ずそ)、人の喜怒哀楽が絡む入り組んだ人間関係がベースになっていて、そこに主人公九十九乱蔵をはじめとする肉体的、精神的に超常能力を備えた男、ときには女が、互いの矜持(きょうじ)をかけて闘います。
爽快な活劇に人々の悲哀が情緒豊かに織り交ぜられた作品が多く、読み終えた後にはしんみりとした情感に満たされることもしばしばです。

仙道とは、気を体内に蓄え増幅し、一気に体外に放出する武術だそうです。触れずして相手の身体をはじき飛ばしたり、表面はそのままに内部のみを破壊したりと、思わず劇画の北斗神拳をイメージしてしまいます。

闇狩り師シリーズは短編も長編も傑作なのですが、どれかひとつベストをあげるとすれば迷わず“蒼獣鬼(そうじゅうき)”を選びます。

・蒼獣鬼(前篇)
鳴神真人が何かに憑かれている…..悪霊封じの九十九乱蔵は術の師・真壁雲斎から、真人の姉・小百合に会えと依頼された。約束の場所で何者かに拉致されようとする小百合を見つけ、危く救出するが、彼女はすべての原因が自分が鳴神素十の娘だから・・・・・というのだ。素十はいざなみ流陰陽師の家元の血筋で、“呪詛返し”の技では随一の実力者であったが、現在は消息を絶っていた。

・蒼獣鬼(後篇)
高野山の鬼門にある戸田幽岳の魔窟・餓哭庵には、鳴神真人・磯村小百合姉弟と真人の母・初江が拉致されていた。鳴神素十の呪詛によって異形と化した幽岳が、再び蘇るため、真人の肉体を使うというのだ。一方、幽岳にかけられた呪詛を払うために雇われた苦蛇使いの道士・加座間典善は、術の最中、首を切られて絶命。異変に気づいた乱蔵は、餓哭庵を目ざすが・・・・・!?

“黄石公の犬”のあとがきで獏さん曰く、次の闇狩り師のタイトルは“宿神”とのこと。「この物語は、絶対におもしろい」と自負されているので、出版されるのがとても楽しみです。いつになるかはわかりませんが。。。

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