Sonata No.7_Prokofiev/十人十色の演奏

LangLang(ラン・ラン)“Live in Vienna”のBlu-rayにはプロコフィエフの“ピアノソナタ第7番 変ロ長調 作品83”が収録されています。

そのセルゲイ・プロコフィエフ(1,891~1,953年)はロシアの作曲家(ピアニスト、指揮者)。音楽史の分類では近代音楽に属し、スクリャービン、ストラヴィンスキー、ハチャトゥリアン、ショスタコーヴィチなどと並んでロシアの代表的な作曲家です。

ちょうどロマン派期から現代音楽期の移行期に位置付けられている近代音楽1,890年~1,920年の30年間には、ドビュッシー(1,862-1,918年/フランス)・ラヴェル(1,875-1,937年/フランス)らの印象主義、リヒャルト・シュトラウス(1,864-1,949年/ドイツ)・ラフマニノフ(1,873-1,943年/ロシア)らの新ロマン主義、ストランビンスキー(1,882~1,971年/ロシア)らの原始主義・新古典主義などの作曲家も活躍していました。

プロコフィエフの作曲も、歳とともに原始主義から新古典主義そしてロマン主義的な作風に変化しています。ピアノソナタ第7番 変ロ長調 作品83は51歳の1,942年に完成した円熟期の作品で、1,943年1月モスクワでスヴャトスラフ・リヒテルによって初演されました。

ピアノソナタは未完成のものを除いて9曲ありますが、第2次世界大戦中に書かれた第6番から第8番が“戦争ソナタ”と呼ばれ、プロコフィエフのピアノソナタの中でも演奏されることが多いようです。特に7番は一番良く知られていますが、ダイナミックかつ神秘的な音の構成というのが私の受けた強烈な印象です。第3楽章はわずか3分から3分半の短い曲ですが、珍しい7拍子とシンコペーションのリズムは、聴いている方の身体も同期して自然にリズムを取ってしまいます。

そんな第7番第3楽章の演奏を、いろいろなピアニストでピックアップしてみました。リズムが明確な曲なのでピアニストそれぞれの個性が見事に現れています。テンポの違い、強弱のつけ方、スタッカートやスラーの使い方、クライマックスの技法(テクニック)の違いは、聴き応えがあります。

個人的にはホロヴィッツのテクニックに度肝を抜かれました。比較的スローなテンポで始まりますが、クライマックスの迫力が怒涛のごとくです。Grigory Sokolov(グリゴリー・ソコロフ)は遅めのテンポですが、とてもリズミカルで小気味良く感じます。

ピアノソナタ第7番第3楽章/プロコフィエフ_Vladimir Horowitz

ピアノソナタ第7番第3楽章/プロコフィエフ_Martha Argerich

ピアノソナタ第7番第3楽章/プロコフィエフ_Grigory Sokolov

ピアノソナタ第7番第3楽章/プロコフィエフ_Maurizio Pollini

ピアノソナタ第7番第3楽章/プロコフィエフ_Glenn Gould

ピアノソナタ第7番第3楽章から/プロコフィエフ_Lang Lang


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趣味や関心があることを題材に、体験談や感想などをエッセイ風に書いています。どうぞよろしくお願いいたします。m(._.)m

最近のコメント

  1. こんにちは。お便りたいへんありがとうございます!!! 水谷さんのコメントでおよそ10年前の記憶が蘇ってきました。あのときの岐阜城からの眺めは格別でした。 昭和26年の写真はとても貴重な画ですね。非常事態宣言も解除されたようですので、暑さにお気をつけて是非楽しんでいらしてくださいませ。

    • RiKKiE
    • 2020-05-14
  2. 岐阜城の記事を興味深く読みました。写真が明確で、内容が良く分かります。信長や秀吉の歴史的痕跡が多くあるのには驚愕です。岐阜城の天守閣からの眺望は、はるかかなたまで眺望でき、戦国時代ここから恐らく信長も天下統一を志したのでしょう。今度、女神像を観に行きたいと計画しています。数年前、この前で撮った写真が見つかりました。昭和26年頃撮ったもので、この写真を持って行きたいと思います。じっくり今昔の相違を確認したいと思います。

    • 水谷 成美
    • 2020-05-14
  3. お便り有難うございます。返信が遅くなり申し訳ありませんでした。 実を申しますと半年ほど前にHD660Sを購入しました。ある理由でHD650を分解したときにリード線を断ち切ってしまいまして。 銘機HD650の音質を本当に上回るのか疑心暗鬼でしたが、クラシック音楽の心地よい自然な高音の再現性は◎でした。 おっしゃるとおりアンプの選定には予算との兼ね合いで悩みました。いまでは、電源やケーブル類のアクセサリーも導入して、自分好みの音質になんとか仕上げることができました。 ヘッドホンによる音楽リスニングは、再生音質の良し悪しが一聴瞭然?なのでいろいろ試行錯誤しましたが、最近はもっぱら音楽鑑賞を楽しんでおります(^_^)。

    • RiKKiE
    • 2019-06-04
  4. 小生も万能機HD598を最初に買ってオールマイティ機によくある「どのジャンルもそこそこな性能」に 我慢できず3ヶ月でHD650に買い替えしました。 インピーダンスが300Ωと高いのでHPAを選びますねぇ~。Audio・gdのC2cという中華製H PAが相性よく、手放せません。

    • 杉ちゃん
    • 2019-05-29
  5. NHK交響楽団はあまり聴かないのですが、ドゥダメル氏の招聘が叶えばいいですね。篠崎史紀さんの演奏は聴いたことがありません。ごめんなさい。

    • RiKKiE
    • 2018-09-16
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