Lang Lang/ランランの魅力

卓越したテクニックと繊細かつ大胆な感性でピアノを奏でるvirtuoso(ヴィルトゥオーゾ)、1982年6月中国出身で現在28歳。

芸術に国境はなく、同じアジア諸国からこれほどの大ピアニストが誕生したことを素直に歓びたいと思います。ルービンシュタイン、ホロビッツ、フランソワ、リヒテル、ギレリス、バックハウス、ケンプ、バレンボイム、グルダ、グールド、シフラ、クリダ、ベルマン、ゼルキン、アラウ、ワイセンベルク、ゲルバー、アシュケナージ、アルゲリッチ、ポリーニ、ツィマーマン、キーシン、など世界的に著名なピアニストの中に堂々と名を連ねることができるとともに、今後歴史的にも“超一流”ピアニストとして語り継がれていく器であろうと思います。

ランランの演奏を聴いたり観たりしていると、彼の演奏テクニックは既に超絶の域にあり、ホロビッツ、シフラ、ベルマン、キーシンなどの技巧派と肩を並べる、あるいは彼らを凌駕する恐るべきテクニックをもっていると感じます。

彼の演奏スタイルは、とても天真爛漫的です。天真爛漫といっても、自己陶酔して思うがままに演奏するということではありません。コラボレートしたハービー・ハンコックが「彼の演奏はとても繊細で、かつ、とても人間性にあふれている。・・・」と評しているように、とても情緒、情感豊かに演奏します。ウィキペディアには、ダニエル・バレンボイムからルバート奏法を教わっているとありますが、そういったところも少なからず影響しているかもしれません。

写真の“The Best & Rarities”は、CD-1が既発売の彼のアルバムからのベスト盤、CD-2は未発表音源とラン・ランがゲスト参加した他のアーティストのアルバムからの音源とのこと。先週TUTAYAで借りてきました。収録曲を参考に記載します。

ディスク:1
1. リスト:ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調  試聴する
2. 孫以強:春舞
3. モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調 K.330 第1楽章
4. リスト:愛の夢 第3番  試聴する
5. 洗星海による≪黄河大合唱≫に基く ピアノ協奏曲≪黄河≫ 第2楽章:黄河頌(黄河を讃える)
6. ショパン:夜想曲 第8番 変ニ長調 作品27の2
7. シューマン:トロイメライ (≪子供の情景≫ 作品15から)
8. 呂文成:平湖秋月
9. ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 作品43から 第18変奏
10. ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 ト短調 作品58 第2楽章
11. ショパン:ピアノソナタ 第3番 ロ短調 作品58 第4楽章
12. チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23 第3楽章

ディスク:2
1. 任光:彩云追月
2. ベートーヴェン:ピアノ連弾ソナタ ニ長調 作品6 第1楽章:Allegro molto
3. ベートーヴェン:ピアノ連弾ソナタ ニ長調 作品6 第2楽章:Rondo.Moderato
4. ラフマニノフ:前奏曲 ト短調 作品23の5
5. リスト:ペトラルカのソネット 第104番 ≪平和は見出せず≫
6. サティ:グノシエンヌ 第1番
7. リヴァー・ワルツ
8. 竹林の戦い
9. 取り戻せぬ愛
10. 兆し
11. これからも僕はいるよ

“ディスク:1”はベスト盤ですが、ランランのショパンピアノソナタは前から聴いてみたかったので、“11. ショパン:ピアノソナタ 第3番 ロ短調 作品58 第4楽章”には興味津々でした。

これは…まるで流れるような感じ、流麗な演奏です。ソナタ第3番第4楽章は、ベートーヴェン風の曲調が特徴で力強さが強調されるのが通常なのですが、強弱をきちんと表現しながらもとても滑らかに弾いています。終結部はかなりの技巧を要するのですが、まったくそれを感じさない見事なコーダです。前回のブログでも述べましたが、超絶テクニックと類稀な感性もっているがゆえに、緩急変幻自在な演奏表現ができるのですね。

ランランの演奏が好きな人も、興味がない人もいます。ピアノに限らず音楽演奏は、演奏する人の感性に委ねられるので好き嫌いはどうしてもでてきます。でも、音楽というジャンルはその演奏家の数だけ多様性があり、その多様性に興味をもって向き合えば、これまで感じなかったその人の魅力というものが見えてくるように思います。この第4楽章を聴いてみて新たに感じたことです。

ソナタ第3番 第4楽章/ショパン_Lang Lang(ランラン)
[工事中]


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最近のコメント

  1. こんにちは。お便りたいへんありがとうございます!!! 水谷さんのコメントでおよそ10年前の記憶が蘇ってきました。あのときの岐阜城からの眺めは格別でした。 昭和26年の写真はとても貴重な画ですね。非常事態宣言も解除されたようですので、暑さにお気をつけて是非楽しんでいらしてくださいませ。

    • RiKKiE
    • 2020-05-14
  2. 岐阜城の記事を興味深く読みました。写真が明確で、内容が良く分かります。信長や秀吉の歴史的痕跡が多くあるのには驚愕です。岐阜城の天守閣からの眺望は、はるかかなたまで眺望でき、戦国時代ここから恐らく信長も天下統一を志したのでしょう。今度、女神像を観に行きたいと計画しています。数年前、この前で撮った写真が見つかりました。昭和26年頃撮ったもので、この写真を持って行きたいと思います。じっくり今昔の相違を確認したいと思います。

    • 水谷 成美
    • 2020-05-14
  3. お便り有難うございます。返信が遅くなり申し訳ありませんでした。 実を申しますと半年ほど前にHD660Sを購入しました。ある理由でHD650を分解したときにリード線を断ち切ってしまいまして。 銘機HD650の音質を本当に上回るのか疑心暗鬼でしたが、クラシック音楽の心地よい自然な高音の再現性は◎でした。 おっしゃるとおりアンプの選定には予算との兼ね合いで悩みました。いまでは、電源やケーブル類のアクセサリーも導入して、自分好みの音質になんとか仕上げることができました。 ヘッドホンによる音楽リスニングは、再生音質の良し悪しが一聴瞭然?なのでいろいろ試行錯誤しましたが、最近はもっぱら音楽鑑賞を楽しんでおります(^_^)。

    • RiKKiE
    • 2019-06-04
  4. 小生も万能機HD598を最初に買ってオールマイティ機によくある「どのジャンルもそこそこな性能」に 我慢できず3ヶ月でHD650に買い替えしました。 インピーダンスが300Ωと高いのでHPAを選びますねぇ~。Audio・gdのC2cという中華製H PAが相性よく、手放せません。

    • 杉ちゃん
    • 2019-05-29
  5. NHK交響楽団はあまり聴かないのですが、ドゥダメル氏の招聘が叶えばいいですね。篠崎史紀さんの演奏は聴いたことがありません。ごめんなさい。

    • RiKKiE
    • 2018-09-16
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